イノベーションのジレンマを書いたクリステンセンの本です。
書店で買う時のポップをみると、「アマゾンCEOのジョフ・ベゾスは、
幹部候補には全員に読ませている」との事です。
それだけの価値がある本かもしれません。
本書はイノベーションのジレンマの続編的位置づけです。
実は私、イノベーションのジレンマは概要こそ知っているものの、じっくり読んではいませんでした。しかし、この本を読むと、イノベーションのジレンマでどういうことが書かれていたか、その核心がつかめるように思います。
前作の「イノベーションのジレンマ」で、なぜ日々努力を積み重ねる優良な企業が、破壊的イノベーションを前に衰退してしまうのかという現象について書かれた本でした。
それに対し本書では、それではその「日々努力を積み重ねる優良な企業」が破壊的イノベーションを前にしても生き残っていくにはどうしたらよいのか。その「解」について書かれた本です。
全10章で構成されている本書では、その現象の説明から実際に企業にとって重要なオペレーションまで、経営に必要なエッセンスが豊富な事例と共にかなり具体的に書かれています。
(逆に経営に関心がない方には、つまらない内容でしょう。)
イノベーションの解として、一つ核心的に伝えられているのは、破壊的イノベーションに対して企業が取り組むべき事は、破壊的イノベーションを作り出す(又は流れに乗る)ためのプロセスを自社内に持つ重要性を伝えています。
そして、そのプロセスは既存の会社の意思決定とは独立したものでなくてはならないと。
これは、企業がその体制を作るのは、かなり難しいことだと読みながら思いました。
なぜならば、一度破壊的イノベーションで成功した企業は、そのリスクを避けるような保守的な体制に移るのは心情として当然のように思います。
やっぱり(いつも例えに出されてかわいそうですが・・・)ソニーなどがその事例の象徴としてイメージが浮かびます。
最後にまとめますが、この本はMOTでもキーワードになる「イノベーション」に対する研究の集大成になっているように思います。
経営に携わっている人、携わりたい人。必読の一冊です。